ソロ、デュエット、トリオ、カルテット、、、演奏形態はそれこそ無数にあるかも知れませんがその中で最もゴージャスな編成はビッグバンドを置いて他には無いでしょう。今回はトランペット4人、トロンボーン4人、サックス5人、リズム3人の16名編成でお届けします。
ビッグバンドの醍醐味はまずそのダイナミックレンジの広さにあります。しかもそれは電気的なエフェクトによるものではなく、生身の人間がギミック無しで 表現しているところが大きなポイントなのです。ピアニッシモからフォルテッシモ、いやそれ以上まで、腕利きミュージシャンが集まり渾身の力をもって楽器を コントロールし、微細なハーモニーからダイナミックなセクション・リフに至るまで実に多彩シーンが展開されるのです。
もちろんホーンセクションの胸のすくようなハイノートも大きな魅力でしょうが、ビッグバンドのハイライトと言えば、そのホーンセクションを導き込むドラ ムのフィルインなのではないでしょうか。英語では「set up」我々は「お導き」と言ってますが、このフィルインがあればこそ、その直後に鳴り響くホーンの輝きも増すと言うものです。
スーパードラマーとして、もはや人間国宝級の存在となりつつある東原力哉の実力が最も発揮されるのがこの「お導き」の瞬間であると言っても過言ではないでしょう。花形ドラマーが最も光り輝く瞬間、それはビッグバンドにあるのです。
事実彼は以前よりビッグバンドに対して格別なる愛着を持っていました。今でこそ貴重な存在となっているビッグバンドではありますが、我々が駆け出しの頃 はビッグバンドが全盛の時代でした。歌謡番組などでも番組ごとにビッグバンドを持っていて、登場する歌手のほぼ全曲をビッグバンドで伴奏するということが 当たり前でした。何もテレビの世界だけでなく、夜の帳と共に街に繰り出すと、キャバレーでもビッグバンドを抱えているところが何軒もありました。カラオケ の台頭やシークエンサー等によるトラックでの伴奏が主流となった90年代からはすっかり音楽形態も変ってしまいましたが、我々の根底に流れているのはやは りこのマンパワー感満載のビッグバンドの熱き血潮なのです。
そんな想いが募って2010年の神戸JAZZの為に結成されたのがこのビッグバンドです。
今回、この特別なビッグバンドの演奏を披露出来る素晴らしい会場で、最高のシャンパンと共に楽しんでいただける機会に恵まれたことを、大変嬉しく思っています。
どうぞビッグバンドが持つきめ細やかなれどエモーショナルでゴージャスな世界を、シルクのごとき細やかなシャンパーニュの泡に包み込むようにしてお楽しみください。
我々も存分に楽しみたいと思っています。
9/12には是非 Lanson Nights 堂島倶楽部 にお越しください。